終末に向かう母とのコミュニケーションにコーマワークを応用してみる〜実践編

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母は長期入院の療養型病院に入院して、緩やかに終末がやってくるまでの時をすごしています。
入院して寝たきりで、認知症がずいぶん進んでしまいました。
そんな状況の母とは、コーマワークを応用してみた方法でコミュニケーションしています。
このエントリでは、実際、私がやっている内容について書いていきます。

以前に投稿した関連エントリは以下です。

終末に向かう認知症の母とのコミュニケーションにコーマワークを応用してみる

2016-05-28 09.42.44

 

実際のコミュニケーションはどの様にしているか

1)母は反応が少なく、また反応も小さいので、”星の瞬きを聞き取る”様な微細なものを感じる作業が必要となります。
なので、病室に入る前に一呼吸置いて、自分の内側を静かな状態にしたあと、感度の良いレーダーになる様なイメージをします。

2)そっとベットの横に立ちます。
横に立って寝ている人にてが届く、手を握れる程度の位置に立ちます。

3)最初に挨拶をします。母は大きな音が大嫌いだったので、そっと話かけます。
ほぼ同時くらいで、母の手を弱い力で握るか、母の手の甲に自分の手のひらを置きます。
どちらの手でも良いと思います。手を添えるのは、その方が母が安心するからです。
正確に言えば、目の色や動き、表情等微細な母のシグナルを見て、安心したと判断していることになります。
この様に判断するのに微細なシグナルの受信が必要なので、感覚や注意力自分の中でボリュームMAXにしましょう。

病院に老人の患者さんが入院していると、耳が遠い人にも聞こえる様に大きな声で看護師さんもお見舞いに来た家族も話していることが多数ありますが、
あれは患者さんは驚いたり、不安になったりはしないのでしょうか?
「寄り添う」ことが重要と思いますので、大きな声は出さなくても良いと考えます

4)次に呼吸を合わせます。
息を吸う・吐くごとに体のどこかが動くはずですので、注意深く観察してその動く部分を見つけて、そこを見ながら息を合わせていきます。
そしてしばらく、その人の今のあるがままを尊重する気持ちを持って、そのまま側にいます。
ほとんどの場合、呼吸は一定ではないと思います。
急に止めたり、吸う息と吐く息が急に切り替わったり、吸う息が極端に浅かったり、合わせるのは難しいし息が苦しくなる場合もあるかと思いますが、ここはできるだけ合わせた状態で側にいます。
呼吸を合わせて側にいる事で安心感が2人の間に共有されると思います。

5)コミュニケーションをする場合には、今日の天気、今日の予定等々なんでも話したいことを、静かに囁く様に話します
話ながら、表情や、体の一部が動いたかどうかも見ていきます
うれしそうなシグナルが感じられたら、更にその話を続けます

6)プロセスの促進を促す場合は、呼吸を合わせた時に自分が感じた事を、そっと言ってみましょう。
「今日は息が苦しいの?」
「今日は(息が浅いから)何か心配事があるの?」
正直これに正解はありません。だって母は何も話さないから。
でも自分の感じたままを言っていいです。
そして表情や身体に動きがないか、注意深く観察しましょう。
もしなんらかのシグナルが出ている様であれば、それを実況してみましょう。
「そう言ったら、左のくちもとが動いたよ」
「口がへの字になったけど、心配事はいやなことなの?」
等々、その動きをダメというのではなく動きを実況する、動きから感じられた感情を言ってみることをしてみます。

7)感性と注意力の感度をMAXにしているととても疲れますので、自分の体調や集中力を見ながらやって、限界と思ったらそこでやめます。
自分の場合は15分〜20分で終了にします。
私が母にやっていることは以上です。

基本は、時間は短くても、できるだけ毎日いくことだと思います。
このエントリが誰かの参考になれば幸いです。

2016-06-05 15.18.32

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菊地 健介

感性と心を大切にする経営者、菊地健介です。
約30年プリント基板設計を仕事にしてきて、そのうち17年間は基板設計者と社長という2足のわらじで会社を経営してきました。
この過程で自分と自分の周囲に起こってきたつらくて悲しい経験から、心豊かな幸せを実現するためには感性もちゃんと使うこと、更に感性と理性のバランスを取ることが重要であることに気がつきました。
今は、それらの体験を生かして、カウンセリングやコンサルティングもしています。
また、更に深くカウンセリングを勉強していくその過程でのいろいろな気づきをブログで発信しています。