クロック配線やDDR2、DDR3などの高速信号配線や、モーターを駆動するドライバーICの信号配線では、電流が発信源から受信先に到達した後に、グラウンドの経路を通って発信源に戻ります。この戻る電流のことを「リターン電流」と言います。
また戻る際に通るグラウンドの経路を「リターン経路」と呼びます。
高速信号の配線では、上記のリターン経路が適切に設けられていることが非常に重要です。
リターン経路は、
1)対象信号経路と同一層または隣接層(対象信号がある層の上下層)にあること
2)対象信号から近い距離にリターンの経路があること
が大切です。
リターン経路がない、または上記の条件を満たしていないと
1)信号品質の低下 シミュレータを使って理想の経路の場合、リターン経路がない場合をシミュレーションすると下記の様に明らかな違いがでてきます。
2)高速信号から放射ノイズが発生する
などの問題が出る場合があります。
例えば、オシロスコープ等で見たとき、理想の信号波形と異なる波形になっている場合、不適切なリターン経路である場合があります。
そこで私たちは高速信号配線ごとに、EMCアドバイザー というツールを使って、リターン経路を可視化して適切なリターン経路になっているか確認しています。
濃いピンク色になっている部分がリターンの経路です。
また上記の様に、適切か、不適切か数値でも確認できます。
私たちが設計を行う際には、高速信号配線を専用ツールを使用して1本づつ確認して基板の設計品質向上をは図っています。
以上、日々の設計の中の一コマの紹介です。