沼野尚美著「癒されて旅立ちたい」〜カウンセラーの在り方が詰まっている本

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沼野尚美著「癒されて旅立ちたい」を読みました。
この本はホスピスなどの終末期医療の現場でチャプレンという立場で心のケアをされてきた沼野尚美さんの体験と考えが書かれています。
自分は将来、極限意識状態の方とそのご家族の方の心のケアをしたいと思っているので、この本を手にとりました。
しかし、単にホスピスでの生と死の物語が書かれているだけでなく、カウンセラーそのものについて深いところまで書かれている本です。

チャプレンとは

まずは、沼野さんの職業であるチャプレンがどんなものか、本書より抜粋してみます。

チャプレンとは施設付きの宗教家のことで、欧米では神父か牧師を意味します。
日本におけるチャプレンは3種類あって、病院や福祉施設んチャプレンと学校チャプレン、刑務所チャプレンです。

沼野尚美さんは

そして、著者の沼野尚美さんは本書執筆時は、ホスピスなどの終末医療の現場で、カトリックの信徒女性チャプレンとして「宗教的なケア」とカウンセラーとして「心のケア」をされて来た方です

私が私らしく生きるのを支援する

自分が人生で行き詰まって心のことを学び、そしてカウンセラーになって他の人の支援をしようと思った時からずっと考えていることがあります。
それは、

カンセリングとは何をするのか、カウンセラーとは何をする人なのかを、自分が肚に落ちるようにことばで表現する。

ということです。
言葉で表現することによって、自分の中で確固とした意志として持っていることができると思ったからです。
そして、本書をを読んで、ヒントを見つけることができました。

「私が死んでいくのを助けてね」という意味は、「私が私らしく生き切るのを助けてね」という意味ではないだろうかと思いました。
そして、私は彼女が彼女らしく生き切るのを援助する努力をしました

自分の中では
「カウンセラーとは、その人がその人らしく生き切ることを援助する人」
ということを定義することができました。

2017-02-09 16.49.38

援助者の在り方

本書の中で著者はこの様に書いています。

私たち援助者は、〜中略〜 一番大切なことは、援助者の存在そのものが相手にどう映っているかということです。傍にいるだけでも圧迫を感じる、しんどい思いにさせる存在であるならば、何を言っても何をしてもその援助は生きて来ません。
「あなたが傍にいてくれるだけでいい」と言っていただけるような援助者でありたいものです。

「ああなたは一人ではありません」というメッセージを「あなたはあなたでいいのですよ。今のあなたをそのまま受け止めます」という共感的な暖かい微笑みとともに届けられるものでありたいと思います。」

まさに、援助者の在り方を上記の2つの文章が表現していると思います。
カウンセリングをしていると、自分にうまくできるだろうかと恐れたり、その他自分の心がニュートラルではない状態になる場合もあります。
でも、それは相手にも伝わります。
そんな恐れを生む思考は手放して、
ただ「自分が傍にいるだけでいい」と思ってもらえる様に誠意を尽くす
ということがカウンセラーのやることです。

本書は、カウンセラーの在り方のヒントが詰まっている本だと思います。
カウンセラーとしての在り方を考え、また将来極限意識状態の人とその家族を支援しようと考えている自分のとって、本書に出会えて、本当に良かったと思います。

仕事や人間関係で感じる苦しさや心の重荷を下ろし、「人生を生き直したい」「今までとは違う人生を生きること」にシフトしたい方のために。

自分が、人間関係や仕事についてどうしていいかわからなくなって、毎晩寝る前に明日が来なければいいと思っていた時に心理学の学びと出会い、それを学び実践することにより「人生を生き直し」できて充実した毎日を送れています。

そんな自分の体験から、
『癒し + そうなった理由の理解 + 体験と学びを今後に生かす方法を一緒に考える』
サービスを提供しています。

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菊地 健介

感性と心を大切にする経営者、菊地健介です。
約30年プリント基板設計を仕事にしてきて、そのうち17年間は基板設計者と社長という2足のわらじで会社を経営してきました。
この過程で自分と自分の周囲に起こってきたつらくて悲しい経験から、心豊かな幸せを実現するためには感性もちゃんと使うこと、更に感性と理性のバランスを取ることが重要であることに気がつきました。
今は、それらの体験を生かして、カウンセリングやコンサルティングもしています。
また、更に深くカウンセリングを勉強していくその過程でのいろいろな気づきをブログで発信しています。